マイブログ リスト

2012年6月10日日曜日

妻・り~さんへの『WR3丁拳銃』講座。

またもステップアップ順序を全く無視した解説。

こないだの『ニッケルとダイム』からの繋がりで、ポジションをちょっとだけ掘り下げた内容。
前回がDBだったので、今回はWR篇。
タイトルの『3丁拳銃』は、大した意味は無い。

パスオフェンスの主役となるWRは、通常(例えばT体型とか)のフォーメーションの場合、2名セット。
最近はFBを置かずに3人セットする方がメジャーかな。
あと、長い距離が欲しい時なんかには、更に増やして4人にしたり、GBが用いた「BIG5」パッケージなんかは、その名の通り5人のレシーバーをフィールドに送り込む。

WRを増やすと、ターゲットもパスコースも増えるし、多彩且つ複雑に出来るけど、当然デメリットも大きい。
例えば、FBやRBの人数を割くのでラン攻撃は出にくくなるし、パスプロテクション要員が減るので、折角パスターゲットを増やしても投げる前に潰されたりする。

まぁ兎に角、スナップ毎に2人とか3人が投入されるWRは、同じ「レシーバー」として一括りにされがちだが、実は役割と呼び名が分かれている。

大きく分けて、「スプリットエンド(SE=Split End)」、「フランカー(FL=Flanker)」、「スロット(Slot Receiver)またはスロットバック(SB=Slot Back)」 の3つ。
ここで『3丁拳銃』と繋がるが、やっぱり大した意味は無かった。


SEは、その名の通り「エンド(End)」であり、実はスクリメージラインに並ぶ7人の1人。
中央のOL5人(C、両OG、両OT)と、近くにTEが居て、離れた位置にSEがセットするのが普通。
TEの「Tight」は「窮屈」とかの意味なので「OLの近く」、SEの「Split」は「分裂」とかの意味なので「OLから遠く」に居るワケ。

一方のFLは、完全にバックスの一員で、スクリメージラインから一歩以上下がってセットする。
語源は軍隊用語で「側面」を指す「Flank」で、「Flanker」は「側面に立つ人」的な意味。
QBから見て横に居るからそう呼ぶのかな?たぶん。

んでSBもバックスなので、スクリメージラインから下がった位置にセット。
SBの「Slot」は、「溝」といった意味で、OTとSEの間の溝にセットする、的なイメージらしいのだが、何をどう見て溝だと思ったか、アメリカ人でないのでそのセンスはよく分からない。


では3者の違いは?

既に触れているが、「スクリメージライン上に立つか、下がってセットするか」というのが最大のポイント。
これが絡んで来るのは、1つにはモーション、もう1つはバンプ。


まず、モーションについて。

ルール上、「マン・イン・モーション(※1)」で動けるのは、スクリメージライン上の7名以外のバックスだけ。
だから、SEはモーションできず、FLとSBはモーション可能。


憶えているかどうか判らないが(と言うか多分憶えていないと思うが)、「アイシールド21」の神龍寺ナーガ戦で、SEモン太がFL雪光と見せたフェイクプレイがあった。
ずっとFL雪光のモーションを多用し意識付けさせておいて、突如2人が役割を入れ替え、雪光がコッソリと前に出てスクリメージライン上にセット。
モン太はバックス扱いなのでモーション可能となり、大きく外側にセットするフリをして横に走り、その動きの中でプレイ開始させた。
この助走でスピードに乗ってスタートした分だけ、相手CB一休を出し抜いて、ロングパスのキャッチに繋げた。


あと、バンプについて。

SEはモーション出来ないのでセット位置が固定されてしまうのと、そもそもスクリメージライン上に居て相手守備からも近いので、バンプ(※2)の標的となり易い。
一方でFLやSBは下がってセットしているので、バンプされにくいし、相手守備の隙間を見て走り込むことができる。

同じWRのポジションの選手でも、「SEタイプではない」とか「スロットが最適」とか評価される選手が居るのは、この点が大きい。
つまり、小柄・細身のWRの場合、SEにセットしてもバンプに潰されてしまうので、一歩下がってそのリスクを回避した方が良い。
トップスピードに達するまでが速いタイプが多いので、ダウンフィールドに出るまでの距離を活かして加速し、相手守備を置き去りにする、といったプレイが期待できる。
まぁ、SBの場合、パスプロテクションに参加しブロックするケースもあるので、パスプロに長けたテクニックと身体があると適任かも。


SEとFL、SBの違いは、まぁ大体はこんなもん。
他にもあることはあるが、ザックリ割愛。


では、「SEとFLのどっちがエースWRか?」というのは、若干微妙なところ。

多くはFLの方がエース扱いされたりするが、オフェンスのシステム次第だし、エースWRの適性がどのタイプかにも依る。
SEの方が対面するCBに打ち克つ身体能力とガタイの強さを要求されるけど、そういった点ではない部分で勝負するレシーバーの場合は、FLやSBの方がやり易い。

あと、QBの利き手(つまり身体が半身向いてるサイド)、相手CBの絡みかな。
右利きのQBなら右サイドのパスが展開し易いので、TEとFLがが右側にセットして、FLがエースWRとなることが多い。
しかしそうなると、相手守備のエースCBは当然相手エースのマークに付くので、SEの方がカバーが薄くなりエース的なスタッツを残したりする。


んで、言わずもがなで解ってると思うのだが(解ってるよね?)、SEとFL、SBは固定された役職ではない。
プレイによって変わるし、シーズンによりチェンジしたりする。

あと、FLが右サイドとかSBは左後方とか、そういう決まりがあるわけではない。
(SEはTEの逆サイドにセットしないといけないけど←TEと同サイドの外側ならTEのパス捕球資格が無くなってしまうため)
そもそも、WRが4枚ならSB的な位置に2人セットするし、ダブルTE体型ならSEはセットしない。

ま、WRにこんな区分けもあるんだなぁ、と思いつつ眺めるのも、愉しいのでは?


※1.マン・イン・モーション(Man in Motion)
攻撃時、全員がセット後1秒間静止したあと、プレー開始までにバックスの選手が動く(モーション)こと。
モーションは、スクリメージラインに対して平行もしくは後方の方向に限られ、つまり前に出ることはできない。
なお、1人だけならモーション中の状態でもプレーを開始できる。
また、2人以上の攻撃選手が移動することはシフトと言い、シフト後はまたセット後に1秒間静止したのちスナップすることになる。

※2.バンプ(Bump)
守備側の選手が攻撃側のレシーバーに対し、胸の辺りを掌で突いたり腕を突っ張ったりして妨害するテクニック。
WRの動きを止め、パスコースに出る勢いを抑え、ルートを乱したり、ダウンフィールドに出さずスクリメージライン上に釘付けにすることが狙い。
当然ながらルールで制限されており、NFLではスクリメージラインから5yds圏内でのみOK。

0 件のコメント:

コメントを投稿